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五石敬路(2008)「韓国における経済危機後の新貧困問題」

五石敬路(2008)「韓国における経済危機後の新貧困問題」『アジア経済』49-1(2008.1)、pp.25-47  経済危機後、従来の貧困とは異なるという意味で、韓国では「新貧困問題」という言葉が使われている。その特徴として、「ワーキング・プア」が貧困層の中心を占めるということがあると言われてきた。金大中政権は2000年10月に国民基礎生活保障法を施行したが、就業可能者には自活支援事業への参加を義務づけた。盧武鉉政権になっても、就業自立を福祉改革の重点課題としている。  しかし、経済危機後の韓国においても、貧困問題は依然として、労働市場以外の要因によるところが多い。経済危機後、徐々にではあるがワーキング・プア世帯の貧困世帯に対する割合が低下してきている。ワーキング・プア世帯以外の貧困世帯としては、高齢者世帯や母子世帯がある。前者は恒常的な貧困に陥っており、後者は労働市場外の要因から雇用が不安定になっているという特徴がある。このように、「新貧困問題」は、ワーキング・プアの増加を含めた貧困化の要因の複合性、多様性、そして貧困化と社会的排除の相互作用として捉えられる。  この論文では、「ビニールハウス村」を調査した。従来の貧困層居住地域と異なり、小規模で隔絶された環境にいることを明らかにした。所得面だけを取り出すと必ずしも貧困とは言えない世帯もあるが、劣悪な住居や社会からの孤立といった問題がある。世帯実情の調査からは、自活支援事業が必ずしも有効ではない。  危機後の所得分配の悪化や雇用不安定は、実は、危機以前から兆候が見られていた。低所得層の高所得層に対する世帯所得の割合やジニ係数、被雇用者全体に対する臨時雇いのシェアのいずれも、1993年頃から悪化の兆しが出ていた。これは、グローバル化に伴う労働市場の柔軟化や産業構造・企業経営の変化が考えられる。ビニールハウス村についても同様で、1980年代後半から形成されてきている。あくまでも仮説であるが、新貧困問題は80年代末から90年代前半にかけ徐々に生じ、経済危機を契機に顕在化したものと推測される。

Peter Large (1991)"Paying for the Additional Costs of Disability"

Peter Large (1991)"Paying for the Additional Costs of Disability", Dalley G. ed.  Disability and Social Policy , PSI, London, pp.101-119 追加的費用について4つのカテゴリーを示した上で、追加的費用についての実証研究の紹介、英国の給付制度分析を行う。 1. Disability-created capital costs 非障害者には不必要なものでかつ、NHSや自治体でカバーされない物品の費用(例:電動車いす、ホイストなど) 2. Disability-enhanced capital costs 非障害者にとっては贅沢品に属するが、障害者にとっては正当なニードがある物品の費用(電動缶切り、リモコン(生活制御装置)、フードミキサーなど) 3. Disability-created revenue costs 障害者だけにかかり、非障害者にはかからない支出(医薬品、ホームヘルプサービス、情報保障、ガイドヘルプなど) 4. Disability-enhanced revenue costs 障害者にも非障害者にもかかるが、障害の直接的な影響の結果、障害者の支出が高額になる支出(光熱費、旅行時のアクセシブルなホテル、汚しやすい人のクリーニング代など) 5. DIG research into additional costs DIG=Disablement Income Group 1975年のMavis Hymanの調査などの紹介。 6. Savings 特別なコストを払うことをためらい、障害者は節約を行う(外出を避ける、日用品を買い控えるなど)。そうした節約は剥奪に陥りやすい。 7. Principles of additional costs 所得がなければ、費用を払うことはできない。費用を払うことができなければ、その費用は剥奪となる。 8. OPCS and DIG additional costs figures 9. Why the difference? 2つの調査の結果が異なったことについて5つの理由を考察。 10....